抗ウイルス塗料について調べてみた

ここ最近、今回の新型コロナウイルスの感染拡大のなかで抗ウイルス製品やコーティング作業をテレビで何度か目にしたり、メーカーさんから情報誌が送られてきたりと動きが活発になりつつあるのかな?と思い、これは取り扱う側、ご提案する側として知っておかなければ!と、抗ウイルス製品の塗料について調べてみました。
私たちの材料選びの入り口やどんなところを見ているのか、また塗料についても知ってもらえたらと思い記事にしてみました。
「ウイルスを99・9%抑制する室内塗料」
「室内用高機能(超低臭・消臭・抗菌・抗ウイルス)塗料」と機能盛だくさん。「ウイルスを99.9%抑制する室内塗料」と大きくうたわれているこの塗料の有効な使い方を探りながら、カタログの小さい文字のその先へ。機能を評価する試験方法や結果からどんな効果を期待しているのか、そこからどんなケースにお勧めできるかを考えてみます。
今回調べている塗料には光触媒協業会の認証製品であったため光触媒工業会の情報を参考にしました。
以下は光触媒工業会の抗ウイルス効果についての公式見解です。
出典:光触媒工業会 新型コロナウィルスに対する光触媒抗ウィルス効果の考え方についてより
難しい言葉が並びますが、光触媒の抗ウイルス効果は「壁表面に付着したウイルスを光触媒の作用によって抑制するもの」、「ウイルス全般への効果は期待できますが、全てのウイルス、特定のウイルスに対する効果を保証するものではないこと。」のようです。
「光触媒による抗ウイルスのメカニズム」

では、壁表面ではどんなことが起こっているのでしょう。
PIAJより光触媒を利用した抗ウイルス効果の紹介として公開されていましたので、一部引用させていただきます。
(リンク先のPDFには、抗ウイルスのメカニズムのほかにもウイルスや試験についても触れられていてなかなか興味深く面白い内容ですよ。)
出展:光触媒工業会 光触媒を利用した抗ウイルス効果の紹介(pdf)
酸化チタンに光(紫外線)があたることで活性酸素が発生し分解する光触媒のしくみで、資料内にあるようにウイルスの外膜を酸化分解し活性を抑制しています。
メーカーカタログにも同様に試験方法やメカニズムについて書かれています。また、医療品や医療機器などの医療を目的としたものではないこと、表面に付着したウイルスを抑制するもので、感染を予防するものではないことも記載されています。また用途として「マンション、戸建、教育施設、商業施設、病院など、VOC・臭気対策が求められる建物内部壁面に最適」とあります。期待される効果や範囲がわかりましたので、使用する場面のイメージがつきそうです。

「どんな場所により有効か」
ここまでの資料をまとめると、人の動きや風などの空気の流れで壁に付着したウイルスに対して、「従来の塗料を塗った面と比較し4時間で99.9%以上減少した」というところからこれ一つで積極的にウイルスの減少を狙ったものではなく、比較的手軽な塗装で今より少しでも安心・安全な空間づくりの一つの提案という印象です。
最近はウイルス対策としてアルコールでの清掃や室内の換気も多くされていますので、塗装を考えている方のプラスアルファ的な要素として捉えるのが良いと思います。
壁際に物を置くことが多い住宅よりも塗装した壁面ができるだけ広く表に出せ、人や空気の動きが多い場所に塗装すると性能が発揮されやすく良いと思います。家具などで塗装面の多くが隠れてしまうような場所には有効な面を増やすために、塗料ではなく光触媒コーティング剤の使用が向いているのでしょう。
カタログに記載された数値やグラフは一定の環境下での試験結果なので、環境や条件が常に変わる実際の使用での性能はわからないのですが、できるだけ情報を集めて使う塗料を選んでいます。目に見えないものに対する効果を示すのはなかなか難しいですね。
数値も何もでませんが一度テスト施工をして効果を体感してみようと思っています。
変わった塗装ですが、塗料選びの参考や必要とする方に届いたら嬉しいです。以上「抗ウイルス塗料について調べてみた」でした。